PTSとは?

株式の取引は、東京証券取引所(東証)でするものと思っていませんか?

実は、個人投資家の皆さまも、東証以外でも取引することができます。
“PTS(Proprietary Trading System)”、日本語では“私設取引システム”と呼ばれるところでも取引が可能です。
PTSを運営するためには、金融商品取引法[1]に基づいて認可を受ける必要があるので、個人投資家の皆さまも安心して取引が行えます。
そして、当社、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)も2022年6月にPTS運営の認可を得て、PTSを開設・運営しています。[2]

PTSでは、東証のザラバ方式と同様に、売り注文、買い注文が時間優先・価格優先の原則に基づいて約定されますので、個人投資家の皆さまも、株取引の発注に際して、「PTS(ODX)」を選択して頂くと、東証のみへの発注の場合に比べて、有利な価格で執行される可能性が出てきます。
 

ODXでは、なぜ有利な価格で取引できる可能性があるのか?

まず、なぜ、ODXでは有利な価格で株の取引ができる可能性が出てくるのかを簡単にご説明します。
株式を注文する際の値段の刻みのことを「呼値の単位」と言いますが、この呼値の単位は、基本的にはODXの方が東証よりも細かくなっています。したがって、この細かい分だけODXの方が、東証よりも有利に取引できる可能性が出てきます。
具体例で見てみましょう。キーエンス(6861)(TOPIX100構成銘柄)の株式を売買するとします。株価は最近1年間50,000円から75,000円の価格帯にありますので、東証の呼値の単位は10円ですが、ODXの呼値の単位は1円となります。同時刻における東証とODXの注文状況が以下のようになっているとします。
 
 
ここに56,760円で1,000株の買い指値注文を出したとすると
・東証での約定金額:56,760円×1,000株=56,750,000円
・ODXでの約定金額:56,746円×800株+56,747円×200株=56,746,200円
とODXでの執行の方が割安に約定されることとなります。

ODXへの発注はどのように行えば可能になるのか

取引されている証券会社によって、仕様は異なりますが、多くの証券会社では、発注画面で執行市場を選択できるようになっています。ここで、「PTS(ODX)での取引」または「SOR(スマート・オーダー・ルーティング)」を選択して頂けば、ODXでの取引も可能になります。
ちなみに、SORは、コンピュータが発注時点での東証とPTS(ODX)の最良気配を比較し、最も有利に執行できる市場に注文を自動的に発注してくれる機能です。
 

ODXへの発注で注意すべき点

このようにODXでの執行によって、有利な価格で取引できる可能性があるのですが、一方でいくつか注意すべき点もあります。
 

東証上場のすべての銘柄をODXで取引できるわけではない

ODXでは、投資家の皆さまの効率的な投資に少しでもお役に立てるよう、できるだけ多くの東証上場銘柄を取引できるように努力しています。しかし、残念ながら諸般の事情で、東証上場のすべての銘柄をODXで取引できるわけではありません。
 
【表-2】ODX取扱い銘柄と東証上場銘柄の比較

 
 
 

ODX取扱い銘柄であっても必ずしも約定されるわけではない

ODXでは、DLP(Designated Liquidity Provider:指名流動性提供者)制度を導入し、取扱い銘柄に対してDLPが可能な限りマーケットメイクを行うことで、投資家の皆さまの注文が執行され易い環境を用意しています。
しかしながら、マーケットメイクは基本的に同時刻の東証での売り気配と買い気配(BBO:Best Bid/Offer)の内側で実行されますので、東証の気配の状況や相場動向などによってODXで提示される気配やその数量は変化します。また、呼値の単位が基本的に東証より細かくなっていますので、ODXの各価格に提示される気配数量は分散する結果、相対的に少ない量になり易くもあります。そのため、投資家の皆さまの注文が、そもそもODXに発注されなかったり、ODXへ発注されたとしても他の注文との競合で約定できなかったりすることも起き得ます。
ODXでは、そのようなことができるだけ生じないよう、複数のDLPを指定し、また、各DLPにできるだけ長い時間で多くの流動性を提供してもらえるよう積極的な働きかけを行っています。
 

どこの証券会社であってもODXでの取引が可能か

ODXでの取引参加については、各証券会社の独自の判断になります。残念ながら、ODXの開業時点では、SBI証券に口座をお持ちの投資家の方しか、ODXでの取引は可能となりません。
ODXでは、できるだけ多くの投資家の皆さまがODXでも取引できるよう、ODXの取引に参加して頂ける証券会社の拡大に向けて、日々、努力しています。
 

ODXでは信用取引や夜間取引は可能か

ODXでも信用取引は可能です。ただし、グループ会社であるSBI証券に口座をお持ちの投資家の皆さまにおかれましては、日本証券業協会規則により一般信用の新規建ては行えませんのでご注意ください。
また、ODXでの取引時間は、現物取引が午前8時20分~午後4時、PTS信用取引は午前9時~午前11 時30分および午後0 時30分~午後3時であり、現時点では、夜間取引は行っておりません。
 

ODXで成行注文は可能か

ODXに限らず、PTSでは成行注文は発注できません。
ちなみに、現時点でODXにて発注可能な注文種類は以下のとおりです。
①      指値注文:指定した価格かそれよりも有利な価格で約定させる注文です。
②      IOC(Immediate OR Cancel)注文:注文発注時のみ有効とする指値注文。注文時点で約定成立可能な数量のみ執行し、未約定となった注文についてはキャンセルされます。
③      FOK(Fill OR Kill)注文:一括全量執行を条件とした指値注文。全量執行が即座にできない場合は、当該注文はキャンセルされます。
④      POST-ONLY 注文:注文発注時に板に対当する注文がない場合に限り受け付けられ、対当する注文が存在する場合にはキャンセルされます。
ただし、これらの注文のどれが発注可能かは取引されている証券会社の発注システムにも依存しますので、取引証券会社へご確認ください。
 
[1] 第2条第8項第10号
[2] 当社の他にPTSを運営しているのは、ジャパンネクスト証券株式会社とCboe ジャパン株式会社の2社となります。